公開日:2022年03月01日

舌下免疫療法のメリット・デメリットは?効果や副作用についてまとめ

  • 【読み】 ぜっかめんえきりょうほう
  • 【呼称】 -

※2026年7月時点の情報を元に作成しています。
アレルギー性鼻炎の治療法として近年注目されている舌下免疫療法。他の治療法と比べてどのような特徴があるのでしょうか?今回はメリット・デメリットをまとめました。副作用などよくご質問いただく点も解説していますので、ぜひご参考にしてください。

アレルギー性鼻炎の治療方法

舌下免疫療法はアレルゲン免疫療法のひとつです。アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストといった原因物質が体内に入り込んだ際に身体の免疫機能が過剰に反応して、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、せき、瞼や唇の腫れといった粘膜症状が引き起こされるものです。舌下免疫療法は、アレルゲンを少量含んだ経口薬を1日1回1錠ずつ服用することで身体を徐々に慣れさせ、アレルギー反応が起こらないあるいは起こったとしても症状が軽微で済むようにする効果が期待できます。

スギ花粉やダニアレルギーに効果的

舌下免疫療法は、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎(ハウスダスト)に対して効果があるとされています。これら以外のアレルギーに対しては現在、効果が認められていません。そのため、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎の確定診断が出た患者さんが受けられる治療法です。

スギ花粉に対してはシダキュア、ダニアレルギー性鼻炎に対してはアシテアやミティキュアという経口薬が処方されます。使用方法はどちらも1日1回1錠の服用で、舌の下に薬を置いて一定時間そのままにしておき、その後飲み込むというものです。

治療を開始する時期

スギ花粉症アレルギーの治療の場合は、スギ花粉を少量含む薬を使用するため、スギ花粉が飛散していない時期に治療を開始します。具体的には5月から12月上旬までが新規治療の受付期間となります。

ダニアレルギー性鼻炎は、特に季節性のものではないため通年で治療を開始することができます。

舌下免疫療法のメリット

舌下免疫療法のメリットをご紹介します。ほかのアレルギー性鼻炎の治療薬とはどのような違いがあるのでしょうか?

アレルギー症状の軽減や薬の減量を目指せる

一般的なアレルギー性鼻炎の治療法は、くしゃみや鼻水、せき、目の腫れやかゆみといった、すでに発症しているアレルギー症状を軽減する対症療法が中心です。それに対して、舌下免疫療法はアレルゲンに対する身体の反応を徐々に変化させていくことで、アレルギー疾患の自然経過の改善が期待できる治療法とされています。症状の軽減や、抗ヒスタミン薬など対症療法薬の使用量減少が期待されますが、効果の現れ方には個人差があり、すべての方でアレルギー症状が完全になくなるわけではありません。

治療により症状が軽減した場合には、ティッシュなどで頻繁に鼻や目をこすることによる皮膚への負担が減ったり、対症療法薬による眠気などの副作用を抑えられたりすることで、QOL(生活の質)の改善につながることが期待されます。ただし、効果や副作用の現れ方には個人差があるため、見通しについては担当医とよくご相談ください。

クリニックに行かず自宅で治療可能

舌下免疫療法は、舌の下に薬を置いて、しばらくそのままにしてから飲み込むという治療法で、誰でも簡単にできます。そのため、初めての服用の際は医師の監督下で行うため通院が必要ですが、二回目からの服用は自宅で継続治療することができます。

1日1回、毎日服用する薬なので、クリニックに行かず自宅で行えると楽ですよね。通院するときの公共交通機関やクリニックの待合室で多くの人と会うと感染症の二次感染が心配なので、できるだけ通院は避けたいという方は少なからずいらっしゃいますが、舌下免疫療法ではその心配はありません。

ただし、経過観察のために定期的にクリニックに通院する必要はあります。二度目以降の薬については当院ではオンライン診療での処方も可能ですので、お気軽にご相談ください。

保険適用である

舌下免疫療法は保険適用の治療となるため、自己負担金を抑えることができます。通院の際は必ず健康保険証を持参してください。1カ月あたりの費用の目安や、医療機関ごとに異なる診療費・検査代の考え方など、費用についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

舌下免疫療法にかかる費用について詳しくはこちら

5歳以上の子どもも治療できる

舌下免疫療法は5歳以上の方から治療を開始できます(低出生体重児・新生児・乳児および5歳未満の幼児では、有効性・安全性を検討した臨床試験は実施されていません)。アレルギー原因物質を特定するために血液検査などを行うことが必要になりますが、小さいお子さんでもスギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎を治療できます。

なお、65歳以上の高齢者の方は一律に対象外となるわけではありませんが、加齢に伴い免疫機能やその他の生理機能が低下していることが多く、十分な治療効果が得られない可能性や副作用が重くなるおそれがあるため、治療を受けられるかどうかは医師が患者さんの状態を確認したうえで慎重に判断します。

また、「子ども医療費助成制度」の対象にあたるため、条件に該当するお子さんは実質無料で治療を受けられます。乳幼児・子ども医療証が必要になるので事前に申請しておきましょう。

なお、舌下免疫療法の効果の現れ方には個人差があり、体質や症状の程度によっては十分な効果を実感できない場合もあります。「効果を感じられない」と感じたときの見直しポイントについては、こちらの記事(舌下免疫療法に効果がないと感じたら)で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

舌下免疫療法のデメリット

続いて、舌下免疫療法にはデメリットがあるのでしょうか?見てみましょう。

長期間の治療が必要

舌下免疫療法の薬の服用は毎日、3年以上(目安として3~5年程度)継続することが推奨されています。途中で薬を飲み忘れたり、次の処方を受けられずに服用を中断してしまったりすることもありますが、その場合は自己判断で治療を再開せず、必ず医師にご相談ください。再開の方法は、中断していた期間や体調、これまでの副作用の有無、使用していた製剤などによって医師が判断します。安全性を考慮し、医療機関で医師の監督のもと、初回投与時と同じ量から治療を再開することが一般的です。

副作用が起こる場合がある

舌下免疫療法で使用されているシダキュア、アシテア、ミティキュアという薬は、副作用を起こす可能性があります。唇や口の中の腫れ、かゆみ、のどの違和感、耳のかゆみなどの症状を訴える患者さんがいらっしゃいます。

上記の症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。後ほどご説明しますが、より重大な副作用が起こることもまれにあります。

利用できない人がいる

次に該当する方は、舌下免疫療法の治療を受けることができません(禁忌)。
・過去に本剤の投与でショック症状を起こしたことがある方
・重症の気管支喘息がある方

また、次に該当する方は、治療を受けられる場合もありますが、医師が症状や全身状態を確認したうえで治療の可否を慎重に判断します。自己判断せず、必ず医師にご相談ください。
・65歳以上の高齢者の方(免疫機能などの低下により、効果が得られにくい、副作用が重くなるおそれがあるため)
・妊婦、授乳婦の方(治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合に限り投与)
・全身性ステロイド薬を使用している方(薬の効果が十分に得られなくなる可能性があるため)
・悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全など、免疫系に影響を及ぼす病気がある方
・非選択的β遮断薬を使用している方(アレルギー反応が強く出たり、アドレナリンの効果が得られにくくなったりするおそれがあるため)
・気管支喘息がある方(重症の方を除く)
・抜歯後など口腔内に傷や炎症がある方

上記はあくまで一般的な目安です。実際に治療を受けられるかどうかは、必ず医師の診察・問診のうえで判断されます。

舌下免疫療法の副作用

舌下免疫療法では、重大な副作用として、アナフィラキシーショックが引き起こされる恐れがあります。

喘息のような呼吸困難、蕁麻疹や赤い発疹などの皮膚症状、嘔吐・吐き気、下痢、胃痛、視野の狭窄、血圧低下、意識の混濁といった症状が起こります。

アナフィラキシーショックが生じる頻度は非常にまれですが、まず医師の監督下で投薬を行うのはこうしたリスクに対応するためでもあります。

まとめ

アレルギー性鼻炎の症状緩和が期待できる治療法である舌下免疫療法。治療が長期にわたることや副作用の可能性があることなどのデメリットもありますので、ご自分のライフスタイルとあわせて、継続して治療が可能か考えてみてください。効果の現れ方には個人差があるため、治療開始前に医師から十分な説明を受けることが大切です。治療開始には医師の診断が必要ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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舌下免疫療法

参考文献

・一般社団法人日本鼻科学会「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)―通年性鼻炎とアレルギー性鼻炎―」
・シダキュア スギ花粉舌下錠 添付文書・医薬品インタビューフォーム(鳥居薬品株式会社)
・ミティキュア ダニ舌下錠 添付文書・医薬品インタビューフォーム(鳥居薬品株式会社)
・アシテア ダニ舌下錠 添付文書(塩野義製薬株式会社)
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報検索
・公益財団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」
・厚生労働省「舌下投与用ダニ抽出エキス製剤の使用に当たっての留意事項について」(薬食審査発0928第5号)

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