シダキュア(一般名:スギ花粉エキス原末)とは
- 【読み】 しだきゅあ2,000JAU・5,000JAU
- 【呼称】 -
概要
シダキュアは、スギ花粉を原因とするアレルギー性鼻炎に対する舌下投与のアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)薬です。アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らしていく治療法です。
従来行われている抗アレルギー薬の内服によるスギ花粉症治療は、根治治療ではなく対症療法に分類される治療法でした。シダキュアと同様の減感作療法としては注射剤による治療が行われていましたが、頻回の通院や毎回の注射の痛み等が原因で治療アドヒアランスが低下しやすいのが欠点とされていました。しかし、シダキュアによる舌下免疫療法の登場により、注射剤よりも簡便にアレルギー症状の改善や長期にわたる症状抑制といった根本的な体質改善を目指すことが可能となりました。完全に症状が抑制できない場合でも、症状を軽減し、抗アレルギー薬等の使用量を減らすことが期待できます。
シダキュアによる舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散していない時期も含めた毎日の服用と、1カ月に1回程度の定期的な受診が必要です。根本的な体質改善には3~5年間の服用継続が推奨されていますが、正しく治療が行われた場合には、治療開始後初回のスギ花粉飛散シーズンから症状を和らげることが可能とされています。
シダキュアと同様の減感作療法薬として、シダトレン(スギ花粉舌下液)がかつて使用されていました。シダトレンの剤型は液体で冷蔵庫での保管が必要でしたが、シダキュアの剤型は錠剤で常温保管が可能です。なお、シダトレンは2020年に販売が中止され、2021年3月31日をもって経過措置期間が満了し薬価基準からも削除されているため、現在は処方・調剤ができません。シダキュアとシダトレンではアレルゲン含有量が異なりますが、それぞれの臨床試験はいずれもプラセボを対照としたものであり、両剤を直接比較したデータはないため、本記事では治療効果の優劣については言及しません。
対象となる疾病・症状
スギ花粉症
シダキュアに期待できる効能・効果
効能・効果
スギ花粉症に対する減感作療法
効能・効果に関する使用上の注意
・スギ花粉症の確定診断を実施した後に投与を開始してください。
・投与開始にあたっては、前シーズンの花粉飛散時期における症状を踏まえ、他の治療法も含めて適用の可否を判断します。
・スギ花粉以外のアレルゲンに対しても反応性が高いスギ花粉症患者に対する有効性及び安全性は確立していません。
シダキュアの服用方法
- 最初の1週間は2,000JAU錠(黄緑色のラベル)を、2週目以降は5,000JAU錠(青色のラベル)を初回は医療機関で服用し、2日目からは自宅で服用します。
- 1日1回1錠を舌下に置き、1分間保持した後に飲み込んでください。
- その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。
- 副作用がおこるおそれがあるので、服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けるようにしてください。
その他の注意
・スギ花粉飛散期間は、新たに投与を開始しないでください。
・他の減感作療法薬との併用の経験はありませんが、併用によりアナフィラキシー等のアレルギー反応を含む副作用の発現が増加するおそれがあることから、併用する場合には十分注意してください。
・初回投与時は医師の監督下でショック、アナフィラキシー等の発現時に救急処置のとれる準備を実施した上で、投与後少なくとも30分間は安静にしてください。
・シダキュアを誤って多く服用してしまったり、飲み忘れたりした場合は、次のように対処してください。いずれの場合も、決してその日の分より多く服用しないでください。
①誤って多く服用してしまったとき
・直ちに吐き出し、うがいをしてください。
・翌日、改めて前日の用量を服用してください。
② 1分間保持できず、飲み込んでしまったとき
・その日は再度服用しないでください。
・翌日、改めて前日の用量を服用してください。
③ 服用し忘れたとき
・その日のうちに気がついた場合、その日の用量を服用してください。
・翌日に気がついた場合、前日の用量を服用してください。
・服用したか不確かな場合、その日は服用しないでください。
シダキュアの主な副作用
シダキュアの頻度の高い副作用
次の副作用が5%以上の頻度で生じる可能性があります。症状が重篤な場合には服用を中止してください。
・口腔腫脹・浮腫、口腔そう痒症、口腔内不快感
・咽喉刺激感、咽喉頭不快感
・耳そう痒症
シダキュアの重大な副作用
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあります。冷や汗、めまい、顔面が青白くなる、手足が冷たくなる、意識が薄れる、全身のかゆみ、じんま疹、喉のかゆみ、息苦しさ、動悸などの症状に気づいたら、その場で服用をやめ、直ちに医療機関を受診してください。症状が重い場合は救急要請(119番)をためらわないでください。また、万一の症状発現時にすぐ対応できるよう、できるだけ家族など周囲に人がいる時間帯・場所(日中など)に服用することが推奨されています。
※警告・禁忌を含む使用上の注意等は製品添付文書をご確認ください。
シダキュアのオンライン診療との相性
シダキュアを使用したスギ花粉症に対する舌下免疫療法は、3~5年という長期間にわたって服用を継続する必要があり、服用を長期に中断するとせっかく得られていた治療効果が振り出しに戻ってしまうのが一般的です。薬剤は基本的に1ヶ月分ごとの処方となるため、医療機関が混雑するシーズンや、院内感染のリスクが高い風邪やインフルエンザ等の感冒流行シーズンにも足繁くクリニックに通う必要があります。
スギ花粉症の根治治療を望む若年世代は仕事や家事で忙しい場合が多く、思うように来院の時間を作れず、治療が中断されてしまうケースも多くあります。シダキュアを使用した花粉症治療の初診については、確定診断のためのアレルギー検査や初回服用における副作用発現状況の確認が必要なため、対面での診察が必要です。
しかし、2回目以降の診察については対面での診察以外にも、スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使用したオンライン診療を活用することで、症状や服用状況、副作用の発現状況等の確認が可能です。
このように、シダキュアによる舌下免疫療法とオンライン診療を組み合わせることで患者の通院負担が軽減されるだけでなく、安全な服用や服薬アドヒアランスの向上、院内での患者の密集による院内感染のリスク低減に貢献することが期待されています。
参考文献
シダキュア スギ花粉舌下錠2,000JAU/5,000JAU 添付文書(2023年7月6日改訂)鳥居薬品株式会社(PMDA医療用医薬品情報)
シダキュア スギ花粉舌下錠2,000JAU/5,000JAU 患者向医薬品ガイド(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
患者向け資材「シダキュアによる治療をはじめる患者さんへ」(鳥居薬品)
【執筆者】

薬剤師:大西真理
ドラッグストア併設調剤薬局の薬剤師。薬局長として薬局全体の管理、教育等に従事し、管理薬剤師としても活躍。広域病院から地域密着型クリニックまで幅広い内容の処方箋応需経験を持つ。
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