公開日:2019年04月09日

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とは

  • 【読み】 えすえぬあーるあい
  • 【呼称】 -

※2026年7月時点の情報を元に作成しています。

概要

SNRIとは「Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」の略称です。SNRIの作用機序としては、一度放出されたセロトニンとノルアドレナリンの細胞内への再取り込みを阻害することで脳内のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を上昇させ、神経伝達をスムーズにし、抗うつ作用および抗不安作用を示すと考えられています。

SNRIに類似する薬剤には、注意欠如多動性障害(ADHD)に使用されるNRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)があります。通常、成人ではうつ病・うつ状態の治療に用いられます。

SNRIの主な副作用や注意点

吐き気、嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。眠気やめまい、ふらつきなどの精神神経系症状が現れることがあるため、服用中は車の運転など危険を伴う作業は避けてください。また、ノルアドレナリン濃度の上昇によって、血圧上昇や動悸、排尿障害などの泌尿器症状が引き起こされる場合もあります。

SNRIを含む抗うつ薬は、投与初期または増量時に、不安、焦燥、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、衝動性、アカシジア(じっとしていられない)、軽躁、躁病等の症状(いわゆる賦活症候群)があらわれることがあります。また、24歳以下の患者では、これらの薬剤の投与により、プラセボと比較して自殺念慮や自殺企図のリスクが高まる可能性があることが報告されています。SNRIによる治療を開始・変更する際は、医師からこれらのリスクについて十分な説明を受け、症状の変化や気分の落ち込み、希死念慮の有無についてご家族も含めて注意深く観察してください。

まれに、発熱、発汗、震え(振戦)、筋強剛、反射亢進、頻脈、血圧上昇、錯乱等を伴うセロトニン症候群が現れることがあります。特に、他の抗うつ薬やセロトニン作用を持つ薬剤と併用している場合に生じやすいとされています。このような症状に気づいた場合は、自己判断で対処しようとせず、速やかに医師に連絡するか医療機関を受診してください。

SNRIを長期服用後に急に中止(断薬)すると、頭痛、めまい感、全身倦怠感、しびれ感、不安、悪心等の離脱症状(中断症候群)が生じることがあります。減量・中止する際は医師の指示のもとゆっくり減量していく必要があるため、自己判断で服薬を中止したり、量を増やしたり減らしたりしないでください。離脱症状は1回の飲み忘れでも出現することがあるので、飲み忘れないことも大切です。服薬の変更・中止を希望する場合は、必ず事前に主治医にご相談ください。

希死念慮が生じたときは

服薬中に「消えてしまいたい」「死にたい」といった気持ちが強くなった場合や、自分自身を傷つけたくなる衝動が生じた場合は、一人で抱え込まず、すぐに主治医または医療機関に連絡してください。夜間・休日など主治医に連絡が取れない場合や、緊急性が高いと感じる場合は、ためらわずに救急外来を受診するか、地域の救急相談窓口(例:救急安心センター事業「#7119」)にご連絡ください。命に関わる危険が迫っていると感じる場合は、直ちに119番へ通報してください。
・厚生労働省「まもろうよ こころ」(SNS相談・電話相談)
・よりそいホットライン:0120-279-338(24時間無料・通話料無料)

SNRIの主な薬剤の種類

・トレドミン(一般名:ミルナシプラン塩酸塩)
2008年11月発売

・サインバルタ(一般名:デュロキセチン塩酸塩)
2010年4月発売

・イフェクサーSR(一般名:ベンラファキシン塩酸塩)
2015年11月発売

SNRIとSSRIとの違い(比較表)

項目 SSRI SNRI
増強する神経伝達物質 セロトニンのみ セロトニンとノルアドレナリン
特徴として現れやすい症状 消化器症状が比較的多い 血圧上昇・動悸・排尿障害などノルアドレナリン系の症状に注意

SSRIとSNRIのより詳しい違いや薬剤の使い分けの考え方については、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とはもあわせてご覧ください。

SNRIとオンライン診療

精神科領域は医師と患者のコミュニケーションが治療の中心です。特に、通院が精神的負担となってしまう患者さんの治療継続や、自宅での患者さんの様子把握といった点で、オンライン診療と相性が良いとされています。SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のアドヒアランスを維持するために、オンライン診療は有用であると考えられます。ただし、SNRIは向精神薬ではないものの、処方の可否は症状・診療情報・併用薬等を踏まえた医師の判断によります。初診時のオンライン診療では処方可能日数に制限が設けられる場合があり、症状によっては対面診療への切り替えが必要になることがあります。緊急性が高いと医師が判断した場合は、対面での救急受診が優先されます。

参考文献

トレドミン錠12.5mg/15mg/25mg/50mg 添付文書(2026年4月改訂)
サインバルタカプセル20mg/30mg 添付文書(2026年5月改訂)
イフェクサーSRカプセル37.5mg/75mg 添付文書(2026年3月改訂)

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