公開日:2024年05月10日

PMSとPMDDの違いとは?セルフチェック方法も解説

  • 【読み】 ぴーえむえす
  • 【呼称】 

※2026年7月時点の情報を元に作成しています。

多くの女性がPMS・PMDDに悩んでいる

月経前に体がむくむ、だるくなる、腰痛がひどい、肌が荒れる、気分が落ち込む……。

月経開始の約3〜10日前から始まる、体や心に起こるさまざまな不快な症状は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれるものです。日本産科婦人科学会によると、日本では月経のある女性の約70〜80%が月経前に何らかの症状があるとされています。ただし、月経開始後に症状が軽快・消失するかどうかや、生活への影響の程度は個人差が大きく、症状があること自体が直ちに治療の必要性を意味するわけではありません。

また、PMSのうちで、特に精神面での不調が著しい状態を「月経前不快気分障害(PMDD)」と言います。現在はDSM-5-TRの診断基準等を用いて評価されます。日本産科婦人科学会の診断・治療指針によると、PMDDの有病率は1.2〜6.4%と報告されています(出典:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/PMS_PMDDshishin.pdf)。なお、DSM-5-TR自体が示す有病率は1.8〜5.8%とされており、調査・診断方法により数値が異なります。

PMSやPMDDを経験している女性は多いですが、症状によって日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず医療機関に相談することが大切です。

【緊急の相談が必要な状態】自分を傷つけたい・死にたいという気持ちがある、他人を傷つけるおそれがある、自分の安全を保てない場合は、通常のオンライン予約を待たず、救急医療機関または精神科救急へ直ちに相談してください。

日常生活に支障が出るほどつらい

PMSやPMDDの症状は、身体に現れるもの・精神に現れるもの、重いもの・軽いものなど、非常に多くの種類があります。いくつもの症状が複合的に現れる人もいますし、月によって症状の内容・重さが変動することもあります。

腹痛が強くて起き上がれず学校や職場に行けない、情緒不安定で突然涙が出てくる、イライラして家族にあたってしまう、一日中眠くてやるべきことに手がつかない――このように、普段の当たり前の生活を送ることが困難になってしまうのがPMSやPMDDです。

適切な診断と治療で症状や生活への影響が軽減する可能性があります。十分に改善しない場合や、月経周期に関係なく精神症状が続く場合は、婦人科と精神科・心療内科が連携して評価します。

PMS(月経前症候群)とは

PMSは、月経が始まる前の約3〜10日前から様々な不調が生じる状態です。PMS・PMDDの発症メカニズムは完全には解明されていませんが、排卵周期に伴う女性ホルモン変動への感受性、セロトニン・GABA等の神経伝達物質、遺伝的要因、心理社会的ストレス等の関与が考えられています。

身体面と精神面の不調

PMSは身体と精神のどちらでも症状が現れます。主な症状として次のようなものが挙げられます。

<身体の症状>

・下腹部や乳房の膨張感、痛み
・腹痛、腰痛
・頭痛
・手足のむくみ
・のぼせ、ほてり
・肩こり
・下痢、便秘
・体が重だるい
・関節痛
・眠りすぎる

<精神の症状>

・気分が沈む、鬱屈した気持ちになる
・怒りっぽくなる、イライラする
・不安感情がある
・感情の起伏が激しくなる
・無気力
・何をするにもおっくうに感じる
・食欲が亢進する

PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMDDは、PMSの中でも特に精神状態に関する症状が著しく現れる状態を言います。現在はDSM-5-TRにおいて抑うつ障害群の一病態として位置づけられています。

著しい抑うつ気分、不安、情緒不安定、持続的な怒りなどを基本とする11項目のうち、黄体期最終週の大半で5項目以上が認められていて、さらに日常生活に支障をきたしていることを目安に、PMDDと診断されます。

著しい精神面の不調

PMDDの主な症状としては次のようなものが挙げられます。

<精神の症状>

・抑うつ気分、絶望感、自己卑下の気持ち
・不安、緊張、いらだっている感情
・情緒不安定
・持続的な怒りの感情がある
・興味の減退
・集中力の低下
・倦怠感、疲れ、気力の低下
・睡眠障害(過眠、不眠)
・食欲が明らかに変化している
・自分が制御不能だと感じる

PMS・PMDDのセルフチェック(受診の目安)

このチェックは診断ではなく、受診を検討するための目安です。PMS・PMDDには、現在のところ誰にでも当てはまる確定した診断基準はありません。評価では、症状の種類だけでなく、月経周期との関係・強さ・生活への影響・月経開始後に軽快するかを確認します。少なくとも2周期、毎日症状を記録して医師に相談してください。

また、うつ病・双極症・不安症等の既存の精神疾患が月経前に悪化している場合(月経前増悪=PME)もあり、月経前だけ新規に出るPMS/PMDDとの鑑別が必要です。判断にあたっては以下の観点を確認します。

・2周期以上、症状を記録しているか
・月経前に症状が出現しているか
・月経開始後に症状が軽快・消失するか
・月経後も同じ症状が続いていないか
・生活・対人関係への影響の程度
・婦人科・精神科での評価

<身体症状の例>

・乳房に痛みがある
・腹部に膨満感がある
・頭痛
・手足のむくみ

<精神症状の例>

・抑うつ感がある
・怒りが抑えられない
・イライラする
・不安感情がある
・判断力が低下する
・引きこもりがちになる

上記のような症状が月経前に繰り返し現れ、月経開始後に軽快・消失する場合、PMSの可能性があります。また、抑うつ気分や絶望感、情緒不安定、著しい興味の減退、強い倦怠感、食欲や睡眠の著しい変化など精神症状が特に強く、生活に大きな支障が出ている場合はPMDDの可能性があります。いずれも自己判断で結論づけず、症状記録をもとに医療機関に相談してください。

「自分はPMS・PMDD?」と思ったら婦人科・精神科・心療内科へ相談を

月経周期を28日間とすると、PMSやPMDDの患者さんは、月経前の不快な症状を抱えながら1カ月の約4分の1を過ごしていることになります。本記事のセルフチェックをご参考いただいて、「もしかして自分はPMSかPMDDかも?」と思ったら、婦人科・精神科・心療内科へご相談にいらしてください。診療を行い、それぞれの患者さんに最も適した治療法を提案してもらえるはずです。

参考文献

日本産科婦人科学会「PMS・PMDD診断・治療指針(2023-2024年度)」

DSM-5-TR(米国精神医学会)

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