PMDDはどう治療する?使用される漢方薬についても解説
- 【読み】 ぴーえむでぃーでぃー
- 【呼称】 ‐
※2026年8月時点の情報を元に作成しています。
生理前になると「イライラ」や「気分の落ち込み」といった精神的な症状が強く出て、辛さを感じることはありませんか?その症状はもしかしたら「月経前不快気分障害(PMDD:Premenstrual Dysphoric Disorder)」かもしれません。PMDDは、適切に治療することで症状を軽減できる場合があります。今回は、PMDDの治療法について解説します。症状や診断の詳細はPMSとPMDDの違いとは?セルフチェック方法も解説をご覧ください。
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PMDDの治療の進め方
PMDDの治療では、まず2周期以上の症状記録と疾患教育を行い、睡眠・食事・ストレス対処などの生活指導や運動、必要に応じて認知行動療法などの非薬物療法を行ったうえで、症状に応じて薬物療法(対症療法・OC/LEP・SSRI)や漢方薬、精神科連携を検討します。
なお、PMDDとよく似た状態に「PME(月経前増悪)」があります。これは、うつ病・双極症・不安症などの既存の疾患が月経前に悪化しているもので、症状が月経後に軽快・消失するかどうかを含めた鑑別が必要です。診断基準の詳細はPMSとPMDDの違いとは?セルフチェック方法も解説をご覧ください。
症状に合わせた対症療法
PMDDでは、精神的な症状と合わせて「身体的な症状」が現れることも多く、頭痛、腰痛、胸部・腹部の張り、むくみ、便秘といった症状がよくみられます。頭痛・腹痛・腰痛にはNSAIDsやアセトアミノフェン等の解熱鎮痛薬が、むくみには利尿薬が検討される場合があります(電解質異常に注意が必要です)。精神的な症状を改善するために抗不安薬を用いることもあります。
OC・LEPによる治療
低用量ピル(OC)やLEP製剤は、排卵を抑制することで女性ホルモンの変動を少なくし、PMDDの症状の改善が期待できるとされています。卵胞ホルモン「エチニルエストラジオール」と黄体ホルモン「ドロスピレノン」が配合された製剤に症状改善のエビデンスがあることは確認されていますが、国内で承認されているヤーズ等の効能は「月経困難症」であり、「PMDDの治療薬」として承認されているわけではありません。保険適用も診断・処方目的・使用する製品によって異なります。また、血栓症を含む既往歴や喫煙等によって使用できない場合があるため、処方の可否は医師が判断します。
漢方薬による治療
PMDDに対して漢方薬が使用される場合もありますが、PMDDに対する臨床的有効性の検証は十分でなく、PMDDを直接の効能とする漢方製剤はありません。症状・体質に応じて医師が選択します。
PMDDの治療で使用されることがある漢方薬としては、以下のようなものが挙げられます。
・抑肝散
・加味帰脾湯
・加味逍遥散
・当帰芍薬散
・桂枝茯苓丸
・抑肝散加陳皮半夏
・桃核承気湯
甘草を含む製剤による偽アルドステロン症など、漢方薬特有の副作用にも注意が必要です。医師や薬剤師に相談したうえで、自分の症状や体質に合った種類の漢方薬を選ぶことが大切です。
抗うつ薬(SSRI)による治療
PMDDの症状が中等症〜重症の場合は、抗うつ薬による治療が検討されます。
特に「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)」に分類される抗うつ薬(セルトラリン・エスシタロプラム・パロキセチン等)は、PMDDによる不安や緊張、抑うつといった症状を和らげる効果があることが知られています。
連日服用する連続投与と黄体期のみ服用する周期投与があります。うつ病と異なり、投与日から改善が認められることもあります。開始日・終了日・用量は症状や月経周期によって異なるため、自己判断で変更しないでください。日本ではPMS・PMDDへのSSRIは保険適用外です。また、24歳以下では賦活症候群・自殺関連行動のリスクに注意が必要とされています。
PMDDとオンライン診療の相性
症状が安定している場合や継続診療ではオンライン診療を利用できる場合があります。一方、希死念慮・自傷他害・著しい生活機能障害・月経周期に関係なく続く精神症状がある場合は、精神科・心療内科での対面診療や緊急対応が必要です。
PMDDの治療で薬物治療を継続するためには、定期的に通院し医師の処方を受けることが必要です。オンライン診療は、通院負担の軽減や、飲み忘れた場合の対処方法・飲み方を変えたい場合の相談窓口としても活用できます。ただし、症状の性質上、対面での評価が必要になる場合があることをご理解ください。
気になる症状がある方は、婦人科・精神科・心療内科など適切な医療機関に相談してみましょう。
参考文献
日本産科婦人科学会「PMS・PMDD診断・治療指針(2023-2024年度)」
DSM-5-TR(米国精神医学会)
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