子供の舌下免疫療法|メリット・デメリット・治療費なども解説
- 【読み】 ぜっかめんえきりょうほう
- 【呼称】 -
※2026年7月時点の情報を元に作成しています。
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法として今、注目を集めているのが舌下免疫療法です。痛みなどを伴わない治療方法で、小さなお子さんも利用できる点が特徴です。
今回は舌下免疫療法を子どもが使うことのメリット・デメリットや、治療にかかる費用などを記事にまとめました。ご参考にしてみてください。
アレルギー治療に効果のある舌下免疫療法
舌下免疫療法とは、アレルゲン免疫療法のひとつで、アレルゲンに体を徐々に慣らしていくことで、アレルギーによるさまざまな症状の軽減を目指す治療法です。現在は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎の確定診断が出ている患者さんに対して使用することができます。
舌下免疫療法は、アレルゲンをごく微量含んだ内服薬(スギ花粉症に対する「シダキュア」、ダニアレルギー性鼻炎に対する「ミティキュア」「アシテア」など)を舌の下に置いて1分程度そのままにしたあと飲み込むという方法で、服用は1日1回。3~5年ほどの長期的な治療を行います。
舌下免疫療法の効果
これまでのアレルギー治療が発現した症状を緩和させるといった対症療法のやり方であったのに対し、舌下免疫療法はアレルギー体質そのものに働きかけ、症状の軽減を目指す治療法です。
薬にはアレルギーを引き起こす原因となる物質(アレルゲン)が入っていますが、長期間にわたって服薬する中で、徐々にアレルゲンの配合量を増やしていきます。アレルゲンに体を慣らしていき、免疫の過剰反応であるアレルギー症状が起こりにくくなるように促していくというものです。
舌下免疫療法の治療は3~5年ほどの長期間となりますが、早ければ数カ月でアレルギー症状の軽減を実感できる方もいます。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、のどの違和感といった直接の症状のほか、これらによる集中力の低下やよく眠れないといったQOL(生活の質)に影響する問題の改善も期待できます。
なお、日本アレルギー学会「アレルゲン免疫療法の手引き2025」によると、正しく治療を継続した場合、8割前後の患者さんで有効性が認められたと報告されています(出典:日本アレルギー学会「アレルゲン免疫療法の手引き2025」)。ただし効果には個人差があり、治療を行っても十分な改善が得られない例や、治療後に症状が再燃する例もあります。また、副作用が起こるケースもあります。
何歳から利用できる?
舌下免疫療法はお子さんの花粉症・ダニアレルギー性鼻炎の治療にも使用できます。ダニアレルギー性鼻炎に対する「ミティキュア」は2018年2月、スギ花粉症に対する「シダキュア」は2018年6月から、それぞれ小児への使用が承認されました。ダニアレルギー性鼻炎に対しては、ミティキュアに加えて「アシテア」も治療の選択肢となります。
現在、舌下免疫療法は5歳以上のお子さんから使用が可能です。ただし、5歳未満の乳幼児については有効性・安全性を確認する臨床試験が実施されていないため、対象外となっています。また、5歳以上であっても、次のような点を医師が確認したうえで治療を開始します。
・薬を舌の下に一定時間保持できること
・保護者が服薬状況を管理できること
・重症の気管支喘息など、禁忌となる状態に該当しないこと
自己判断はせず、必ず医師に相談のうえで治療の適応を確認してください。
舌下免疫療法を行えない方・慎重な判断が必要な方
舌下免疫療法は、すべてのお子さんに使用できるわけではありません。治療を始める前に、医師が禁忌・慎重投与に該当しないかを確認します。
【禁忌(治療を行えない方)】
・本剤の投与によりショック症状を起こしたことがある方
・重症の気管支喘息がある方
【慎重な判断が必要な方(治療の可否を医師が個別に判断)】
・気管支喘息がある方(重症例を除く)
・悪性腫瘍がある方
・自己免疫疾患がある方
・免疫不全の状態にある方
・全身性ステロイド薬を継続的に使用している方
・非選択的β遮断薬を使用している方
・重い心臓・肺・血圧の病気がある方
・口の中に傷や強い炎症がある方
上記に該当する場合でも、必ずしも治療ができないとは限りません。持病やお薬の使用状況について、事前に医師に詳しくご相談ください。
子供の舌下免疫療法のメリット
子どもが舌下免疫療法を使用することのメリットをご説明します。
アレルギー症状の軽減や薬の減量を目指せる
舌下免疫療法のターゲットは、ステロイド剤や抗アレルギー薬と同じように個々のアレルギー症状を狙うものではなく、アレルギー反応を引き起こす体質そのものです。
ステロイド剤や抗アレルギー薬は使用をやめると症状が再び引き起こされることが多いですが、舌下免疫療法は治療を継続することで、服用を終了したあともアレルギー症状の発症が抑えられる、あるいは症状が軽減した状態を維持できる例が報告されています。ただし効果の程度や持続期間には個人差があり、すべてのお子さんに同様の効果が得られるとは限りません。
お子さんが小さいうちに舌下免疫療法による治療を始めることで、長期的なアレルギー症状の軽減や、使用している薬の減量が期待できる場合があります。効果や治療の見通しについては、医師とよく相談しながら進めてください。
治療のたびに通院する必要がない
これまでもアレルゲン免疫療法はありましたが、皮下注射のため、患者さんは治療のたびに病院・クリニックに通院しなければいけませんでした。
一方、1日1回1錠の薬を服薬する舌下免疫療法は、基本的に自宅で治療を行うことができます。初回のみ病院・クリニックで医師の監督下で行う必要がありますが、これは、万が一服薬による副作用などが起こった場合に即座に処置できるといった目的のためです。
学業や部活動、習い事などで忙しいお子さんにとっては通院の時間も負担になることがあるでしょう。舌下免疫療法なら、自宅にいながら短時間で手軽に服薬することができます。
痛みがない
前述した通り、これまでのアレルゲン免疫療法は皮下注射でした。小さなお子さんは注射が苦手なことが多く、泣いてしまったり嫌がったりする姿を見るのがつらいという親御さんは非常に多くいらっしゃいました。
舌下免疫療法はタブレットタイプの飲み薬で、錠剤も口の中で溶けやすいため、痛みなどを一切伴いません。小さなお子さんでも服薬しやすいというメリットがあります。
子供の舌下免疫療法のデメリット
次に、舌下免疫療法を子どもが行うことのデメリットも見てみましょう。
前後2時間は激しい運動・入浴が禁止
舌下免疫療法の薬の注意点として、「服薬の前後2時間ほどは激しい運動・入浴が禁止となっている(成人の場合は飲酒も禁止)」ことがあります。
薬は、一般的には朝または夜寝る前に服用する患者さんが多いです。お子さんの場合、学校で運動部の部活動の朝練習があったり、1時間目が体育だったりすることがあったりと、朝の服薬が難しいケースがあります。また、夜お風呂に入りたいのに、薬を服用したからしばらく入浴できない……ということもあります。
薬の服用として推奨されている時間帯は特にないので、お子さんにとって都合の良い時間に服薬するといいでしょう。
毎日の服薬を長期にわたって行う必要がある
舌下免疫療法は毎日服薬する必要があります。1日1回だけですが、数年ほど継続する必要があり、また自己判断で途中に服薬を中断してしまうと、十分な治療効果が得られなくなるおそれがあります。特に小さなお子さんの場合は、毎日の服薬が難しいということもあるでしょう。服薬を中断する場合は、自己判断せず必ず医師に相談してください。
副作用が起こる可能性がある
舌下免疫療法は副作用を引き起こすことがあります。
軽度の副作用では、
・口の中や唇のかゆみ、舌のむくみ
・じんましん
・嘔吐や腹痛、下痢
・耳のかゆみ
・のどの違和感
などが起こることがあります。
また、きわめてまれですが、アナフィラキシーショックなどの重大な副作用が起こることがあります。次のような症状が見られた場合は、アレルギー症状が急速に進行している可能性があるため、ただちに救急要請(119番)を行うか、緊急の医療機関を受診してください。
・息苦しさ、呼吸がしにくい
・顔やのどの腫れ
・強い腹痛や繰り返す嘔吐
・めまい、立っていられない
・意識がぼんやりする、反応が鈍い
特に、治療を開始した直後の時期、その日の服用後30分以内、スギ花粉が飛散している時期は症状が起こりやすいとされています。こうした時間帯・時期は、保護者の方がお子さんの体調をより注意深く見守るようにしてください。
子供の舌下免疫療法の費用は?
舌下免疫療法は保険診療となりますので、「こども医療費助成制度」が適用されます。そのため、自治体によって助成制度の内容は異なりますが、健康保険に加入している0歳から中学3年生までは実質的な負担なし(無料)または数百円などの自己負担となります。「こども医療費助成受給者証」が必要となりますので、あらかじめ交付申請を行ってください。
「こども医療費助成制度」の詳細については、お住まいの自治体に問い合わせてください。
まとめ
アレルゲンに体を慣らしていくことで、花粉症などのアレルギー症状の軽減や、症状を抑えるための薬の減量を目指せる舌下免疫療法。ただし効果には個人差があり、すべての方に同じ効果が得られるとは限りません。小さなお子さんも医師の判断のもとで使うことができる治療法なので、検討してみたいという親御さんは、医療機関にご相談してみてください。
なお、舌下免疫療法にもメリット・デメリットや、思うように効果が出ないケース、副作用が起こるケースなどがありますので、医師からの説明を受けてよく納得してから治療を開始することをおすすめします。
参考文献
・日本アレルギー学会「アレルゲン免疫療法の手引き2025」
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報:シダキュアスギ花粉舌下錠 添付文書
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報:ミティキュアダニ舌下錠 添付文書
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報:アシテアダニ舌下錠 添付文書
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